失語症記念館
南イタリアの旅

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27.バス停を目指して

2002年 8月:

 お昼も十分満足したので、それでは次は海路にてポジターノへ。えっ?アマルフィーの観光は・・・って?楽しみましたよ。もちろん!・・・でもそれは皆さん、自分たちで行ってくださいね。これは観光ガイドではありませぬ。
 と言うわけで、アマルフィーの観光も終わり、港までてくてく歩いて降りていく。
イタリア人の方々とそんなに大きくない船に乗って太陽の光と潮風を全身に受けながらポジターノへ。どのくらい乗ったのか、はっきり覚えていないけれど・・・・30分?1時間弱かな。船の上ではまゆみの買った野菜の種が大ブレーク!まゆみが「これはパプリカだねぇ、んでぇ、これは・・・」と言えば「ルッコラーー!!!」ってな大合唱!誰も聞いていないのに、勝手に覗き込んでいる。そしてその野菜の調理の仕方なんかを議論したりで、ピーチクパーチク・・・とてもうるさい。イタリアの女はやっぱり元気がすこぶる良いのだ。乗船しているのは大部分がおばちゃんであったが。日本もおばちゃんは元気がいい・・・おばちゃんの元気の良さは世界共通なことなのか?

 12袋の名前が全て連呼される頃には、ポジターノが見えてきた。海から見えるポジターノの町は白い家並みが海岸線から上の方までびっしりと並んでいる。石でできた家は日本の木造建築とは全く異なる雰囲気がある。
港からバスの通る上の道路まで町が続いている。白い家の間を細い石畳の道が上へ上へと続く。観光地であるから店が所狭しとひしめいている。店も買うつもりが無ければ面白くないものだ。それにここもレモンチェッロとレモンや唐辛子ばかり。それに服は良いものはとても高いし、それ以外はひどい代物である。店を見ながら歩いても息切れがするほど坂が急である。私達の目指すバス停は、まだまだ遠い。足だって疲 れてきたぞ。
 ポジターノもアマルフィーも高級リゾート地である。つまり歩く場所ではなく、岩壁にへばりついて建った小さなホテルに何泊も泊まって、張り出したバルコニーから海なぞを眺めながらシャンパンを飲まなければいけない場所なのだ。そして太陽の光を浴びながらテラスの長椅子に横たわってサングラスをかけて読書をするのだ。気が付くと「あれ、私いつの間にか眠っちゃったんだわ。ウーン、のどが渇いたから、シャンパンでもいただこうかしら・・・。」でしょう?でしょう?
 なのに、どうして行商みたいに港からてくてくと遙か上の道路にあるらしいバス停 へ向かって歩くわけ?ロバに乗って登ったギリシャの島々が懐かしい。
「あああーーーーーっ!まゆはよくよく疲れたよ、こんな事ならアマルフィーからここまでバスに乗って下に降りて港から船でソレントへ帰った方が楽ちんだったよ!ロバに乗りたいよぉ。」
「ほらほら、ぐずぐず言ってないで歩きなさい。こんなところにロバはいないでしょう。あれはどこにでも糞をするからね。狭い道が糞だらけになるよ。」
「糞なんかどうでもいいんだよ、もう、私は疲れてしまったのだ。」
「あと少しだから、頑張って。それに海からポジターノがとっても綺麗に見えて良かったじゃない。海から入るのとバスで来るのでは景観が違うからね。綺麗な町だね。こういうところはやっぱり泊まった方が良いよね。」
「そうだよ、そうだよ。泊まらなくちゃ意味がないんだよ。ああ、オナシス夫人になりたい!!!ここに別荘を持っている人と友達になってよ。そしたらいつでも泊まれるじゃない?」
「なんだい、それは?全く・・・君は面白いよ。どうでも良いから、ほら、早く歩きなさい。」

 ここら辺はホテルよりも個人のヴィラ(別荘)の方が多いようだ。次回は絶対泊まってバルコニーでシャンパンと共に過ごそうと硬く心に誓ったまゆみであった。
やっと到着した町の上に横に延びている道路から見た海岸はこれまた絶景であった。
ふう、今までの疲れも吹っ飛びそう。
「ねぇ、バス停はどこなの?」日本のように誰が見てもバス停がわかるようにしてあればよいのに。狭い道に隣接した立派な別荘の階段入り口あたりに人が集まっているので、聞いてみた。
「バス停はここ?」
「そうだよ。みんな待ってるんだ。」別荘の塀に1列になってぴったりとくっついていないと大型バスが通れないくらいの道の狭さである。反対方向へ行くバスが来たときも待っている方は死にものぐるいで壁にひっつくのだ。

 そしてこの後、まゆみはたいそう疲れる出来事に遭遇するのであった。

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最終更新日: 2002/08/17