失語症記念館
南イタリアの旅

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4.リッチョ・ディ・マーレ

2002年 3月:

 天気は悪いが、にぎやかな日曜日の午後。私達は、フランチェスコのレストランで昼食を取ることになった。店の入り口から野菜や魚介類のアンティ・パスト(前菜)の大皿がズズズーッと並んでいる。途中にウニの殻が並んでいた。
 ボーイが置き忘れたのであろう。でも殻があると言うことはウニがあるということだ。
「ウニだ、ウニだ!」私はウニが大好きだ。
 ウニのクリームスパゲティは有名であるが、生のウニをイタリア人はどうやって食べるのか・・・。まさかわさび醤油でもあるまいし、早速注文。フランチェスコが、「パンに付けて海の香りを楽しむんだ」と教えてく

マッシモ劇場入り口

マッシモ劇場入り口
れた。ところが運ばれてきたのはさっき私が殻だと思っていたその殻である。
「あれ?これは、食べ残しじゃないの?」よくよく見ると殻の内面に細くて薄い・・・たぶんウニかなというようなものが張り付いている。食べ方を聞くとその殻の内面にパンをこすりつけて食べろと言う。
 結論!やっぱりウニは日本のが一番。ウニの香りより生臭さの方が強かった。
ぺっぺっぺっ・・・・。これは私の舌には合わないよぅ。以前マレーシアのティオマン島で海に潜って取ってもらったウニも食べたけど・・・香りは似ていたが体の大きさの割に中身が本当に本当に・・・本当にちょっとで、がっかりしたっけ。
 ちなみにイタリア語でウニのことをリッチョ・ディ・マーレという。直訳すると『海の石ころ』。形から付いた名前なのかな。雲丹と書いてなぜウニと読むのか、和名の方が難しい。
 しかし、その他の魚やムール貝、そして沢山の種類の野菜達は本当に美味しかった。オリーブオイルとレモン、それに沢山の香草やハーブがふんだんに使われている。2人でコルボを結局2本開けてしまった。私はあまり食が太くないので、デザートはちょっぴ

シャンデリア1

マッシモ劇場内の
花をあしらったシャンデリア
(上下の写真)

シャンデリア2

りしか食べられなかった。
 2人でたらふく食べて飲んで、食後酒をご馳走になりしめて70000リラ。おいしかったぁ、ご馳走様でした!・・・しかし交通費はその4倍。次回はレンタカーが良いかも。ああ・・・でも・・・南イタリアで車を運転する勇気をこの2人は持っていない。加えて2人とも酒飲みだもの。悩みの種は尽きない。

  待つこと30分。町からはるばる迎えに来たタクシーに乗ってまた町へ戻る私達。でも今度は不安なんてみじんもなく「倍払えばいいんでしょう?倍、倍ですね。わかってますとも。」経験がものをいうって感じ。酔った心地よさも手伝って元気に観光を開始することに。
 まずはじめにヨーロッパ有数のオペラの殿堂、マッシモ劇場へ。1897年に幕を開けた新古典洋式のこの劇場は、当時パリのオペラ座に次いで2番目の大きさだったという。シーズンには早かったのか要予約の見学ツアーに空きがあるというので英語ガイドに早速申し込む。20分程度の見学であるが、楽屋やロイヤルボックス等普段は入れないところまで見せてくれる。
 1997年に修復を終えて再開されたので内部は豪華でかつとても美しい。私が気に入ったのは、この建物の中の全てのライトやシャンデリアが花の形だと言うこと。百合やスズランなど本当に美しいデザインのガラスでできていた。写真を撮っていたら、
「マダム、写真はだめだよ。」と注意されてしまったがフィルムまでは没収されずマッシモのガラスのライト達はしっかり私のアルバムにおさまった。ガイドさん、ごめんなさい、次回から気を付けます。  さて、遅くならないうちにフェリー乗り場へ行きナポリ行きの切符を買わないと。外に出ようとしたらすごい土砂降り。一体何?この天気。南イタリアのあの青い空とレモンの香りはどこ?見る見るうちに黒い雲が広がってすさまじい雷が鳴り出した。
 タクシー乗り場は通りの反対側なので、観光客は皆苦笑いしながら劇場入り口に避難している。それにしても寒い。間もなく大きな雹が降り出した。頑張って濡れながらタクシー乗り場へ走らなくて本当によかった。結構長い時間降っていた雹が上がると、あたりは急に明るくなった。
 年末に日本に来たフランチェスコに聞いたところによると、雹が降るのは本当に珍しい。雨が降ったり雹が降ったのはこの年この日だけだったらしい。この後本当に雨の少ない年になったという。

 雨が上がった町は埃が洗われたようですがすがしい空気に包まれた。シチリアに来て初めて見るまぶしい太陽の光。寒いのが玉にきずだけど、これで天気も回復するだろう。私達はタクシーに乗って一路フェリー埠頭へと向かった。

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最終更新日: 2010/08/29