失語症記念館 失語症と共に
Copyright (c) 2000 by author,Allrights reserved

生活の中の失語症

言語聴覚士 綿森 淑子
広島県立保健福祉大学コミュニケーション障害学科

2000年07月: 1/6頁

 第1回の国際失語症週間を記念して、広島県三原市では、6月10日に広島県立保健福祉大学コミュニケーション障害学科のST教員による「ことばのリハビリ相談会」を開き、また、11日には三原失語症友の会こだま、失語症ボランティアグループひびきの主催で「出会いと発見!失語症」と題し、1)失語症者のご家族による体験談、2)右片麻痺のピアニスト、植田紘美さんのコンサート、3)竹原言語友の会「竹の会」有志による手品や参加者全員での歌と体操などを行いました。
本コラムにはその折の失語症者のご家族との対談と、その後日談を当事者の方のご了承を得て転載させていただきます。
対談 「生活の中の失語症」

         綿森淑子()・鼻岡節子(

W: ことばによるコミュニケーションは、脳の働きによって支えられています。脳の中にあることばの領域に障害が起きると、話をしたり、人の話を理解したり、読んだり、書いたり、といったことが難しくなります。
これが失語症です。
脳卒中によって起こることが一番多く、人口の高齢化とともに失語症になる方も増えています。
 普段の生活の中でことばを使わない1日を想像することができますか?失語症の方は頭ではわかっていて、言いたいことはあるのですが、ことばにならないもどかしさに四六時中悩まされています。
今日は、この1月に失語症になられたお母様を介護なさっている鼻岡節子様においでいただきましたので、失語症とはどんなものか、ことばを失ってからのお母様のご様子などについて語っていただく中でこの障害についての理解を深めていっていただければと思います。
W: こんにちは。私がお母様にお目にかかったのはご病気になられてから4ヶ月経った5月の中旬でしたね。
どちらかというとお話をすることが難しいタイプで、言いたいことをことばにすることが難しく、お声も少し出にくい状態でした。
ご病気になられたばかりの頃はご家族にとっては何が起こったのかをつかむことも難しかったのではないですか?

H: 何が起こったのか、どうなるのか、分からなくて「どうしよう」という思いばかりでした。
医師から「言葉は駄目です」といわれ、ショックを受けました。
言葉のない生活を想像することもできませんでした。

失語症と共に
失語症と共に

その2
その2


Copyright © 2000 後藤卓也.All rights reserved.
最終更新日: 2000/07/18