失語症記念館
友からの便り2005年1月

あいさつ皆さんからのお便りをご紹介します。あいさつ
   
1月15日:後藤からの便り

新潟県中越地震と「メールの会」

会長 後藤卓也

 失語症電子メールの会は失語症に関係がある方々(現在80余名)が会員です。パソコンや携帯電話でメールを利用し、会の投稿アドレスに投稿すると自動的に全会員に伝えられる仕組みで、毎年行われる失語症者つどいの全国大会を利用した「顔合わせ会」での交流会は格別になっています。
  昨年10月23日の新潟県中越地震では一斉に会員が心配のメールを発信し、リアルタイムのやりとりは正に息を呑むような緊迫感がひしひしと伝わってきて、全員で情報を共有し合い改めてメールの威力を痛感しました。
  電子メールの会会員で被災にあった方は3名ですが、このうち地震関係のメールは発生から11月21日までの約1ケ月間で投稿された方は19名(投稿数:53メール)でした。被災された方を中心にしてまとめてみました。
氏名は省略しています。

◎会員から、地震が発生した23日と翌24日のメール
・心配しています、状況がわかれば教えてください。
・試しに○○さんの携帯に電話したのですがやはり繋がりません。何か情報がありますか。
・たぶん避難されているのでしょうね、Aさんほかこの地方の方々のご無事を祈るばかりです。

◎被災者Aさん(長岡市)から26日に第1報
・今回の地震で私は現在避難しています。家族全員元気ですが、いつになったら避難解除されるのか解らず不安です。
私は地震の夜は、小学校のグランドに避難しましたが、寒いのでコミセン(?)に移動しました。だけど私はベッドでなければどうも眠れないので、また移動して結局老人施設に避難して今日で三日目です。メールの会の皆さん、私たち家族全員は無事で元気に過ごしています!
まだ電気や水道が止まっているので夕方のご飯は5時半頃いただき、6時頃には寝ています。 では宜しくお願いします。
◎26日会員からのメール
・ご無事でよかったですね、一刻も早くライフラインが復旧することを祈ってます。またCさんや「あゆみの会」の方々はどうだったでしょうか、またAさんは食事以外のことはどうしてますか?たとえばお風呂なんかはどうしてます。

◎被災者Aさんから11月2日のメール
・メールの会のみなさま こんばんは!この度の地震では大変ご心配をおかけしました。私は今日午後に前記老人施設から帰宅しました。でも、私は下の駐車場にレンタルベッドと、(今回購入した)ポータブルトイレを持ち込んで、当分は寝泊りしています。余震が頻発し怖いです、ただ家で一番怖かったのは可愛い猫の「ルナ」でしょうか、いまも少し音をだすとビクッとしてます。
私の家は壁の壁紙がやられていました。部屋の中はもうヒッチャカメッチャカになってました、地震で脱線した新幹線は二階の窓からよ〜く見えます。
道路はあちこちで陥没や亀裂してます。避難所の近くではマンホールが1m以上ももりあがっていました。また老人施設の周りでもあちこち陥没や亀裂してました。もうもう地震はこりごりです。まだまだ書きたいですが今日はこれでご勘弁ください。

◎会員からのメール
お元気そうなメールがはいってきて嬉しく読みました、ご自身でなくても周りの方で必要なものがあれば教えてください、また会員で○○町に住居を持っている方が、ご希望があればご相談に応じても良いという人もいます。
◎被災者Bさんからのメール
・こんにちは、新潟市のBです。こちらはおかげさまで無事です。長岡の実家では、食器が割れたり、ライフラインが止まったりしてますが、ケガはありません。まずはご報告まで。
◎被災者Cさんからのメール
・皆さんへ、長岡市のCです。このたびの地震では、大変ご心配いただいてありがとうございました。無事でした。しかし、テレビは台から落ちて壊れるし、タンスは倒れるし、人形ケースはガラスが割れてメチャメチャ、足の踏み場も無い状態でした。まだ余震が怖くて二階に上がってインターネットもできません。今日、地震後初めてパソコンを開く状態です。はやく余震の無い生活に戻りたいです。いつになったら余震がおさまるやら!いまでは震度4以下くらいなら、またか!という慣れです。
23日から車の中で寝てました。29日からは家で寝てますが、いつ余震がくるかと不安で一階で寝ています。まだ、パジャマを着て寝れる状態ではありません。

◎その後12月21日に、被災者Aさんからのメール
11月まで休んでいたディサービスが、12月から再開しました。長岡は地震が少なくなりましたが、小千谷や川口方面では時々地震がきてます。長岡でも久しぶりに今日未明に地震が来ました。私は夜くる地震が『一番怖い』です。(やだな〜)
今日は市民センターというところでディの「囲碁、将棋」をやってきます。被災者Cさんも参加しますよ。

とりあえず、ここまでにします。頑張ってください。会員が全員で応援してますよ!


メールを提供いただきました会員の皆様と松田さんに感謝します。


12月30日:松岡さんからの便り
《人生、生きちょるだけで丸儲け!!》
失語症になった当時の私は、絶望的 な気持になったこともありましたが、何とか言葉を回復したいと必死でした。
今でも、NHKテレビ小説(ドラマ)を楽しみにしています。というのも、訓練のつもりで、新聞の「あらすじ」を読んでおいて、翌日のドラマを見て復唱することで、行っていますと、少しずつですが、言葉の意味が理解するようになりました。今でも、言葉の訓練だと思ってやっております。
NHKテレビ小説「わかば」は、父の志を継ぎ造園家として懸命に生きるヒロイン・高原若葉の物語です。そのヒロイン若葉の祖母役で南田洋子さんが出演しておりますが、「人生、生きちょるだけで丸儲け!」という口癖がでてまいります。
私は、テレビで「人生、生きちょるだけで丸儲け!」を聞くと、失語症になった当時のことをすぐ思い出します。当時は言葉がよくできませんでしたので「死んだ方がよかった」といつも考えていましたが、この「人生、生きちょるだけで丸儲け!」は、リズムもいいですし、「丸儲け」が本当に儲けたように思ってしまいます。
生きて儲けるつもりで、失語症の訓練を進めていけば、何時かは普通に話せるようになるのではないかと思います。「継続は力なり」とは、「人生、生きちょるだけで丸儲け!」そのものだと思います。

熊本県  松岡孝一



設営者:後藤卓也
設定期間:2001年3月15日〜2001年12月31日
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最終更新日: 2009/11/19