失語症記念館
南イタリアの旅

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44.朝からバラバラ

2004年 8月:

 シャワーの音でけんかとなり、夫は「世界は君を中心に回っているわけではないのだ!」という、一見バカボンパパに似たような台詞を吐き捨て、一人ヴェネツィアの町に消えていった。ふーーーーーっ!いいですよ。私も勝手に好きにやるものねぇ。
  レストランで、軽い朝食を取り、一人ぶらりとホテルを出た。お目当てのイタリア高級下着専門店ラペルラをさがして歩く。下着専門と言ってもパンツばかり売っているわけではなくドレスから、普段着までバリエーションが広い。ここで、足の長く見えるパンツとタンクトップ、ジャンパーをセットにして購入。まゆみ的には大変気に入っている。帰国してから、旧知の友に
「まゆみさんが着るから良いと思うんだけど、普通の人が着たら、完全にお掃除のおばちゃんだと思うよ、その服。」そして、同僚には
「こういうのお洒落に着ることができるのはまゆみさんだけだと思う。」
・ ・・この評価はいったい何なのだ。みんな、何が言いたいのだ。全く意味不
明。ちなみに、夫は
「なかなか似合っているよ」と言ってくれた。これが夫婦愛なのか・・・。(涙)
でも気に入っているので今も時々着ています。(>v<)
  ヴェネツィアの町は入り組んでいて迷路のようだ。迷ったらサンマルコ広場へ向かえと言うが、それにしても迷うことしばしば。
  一人テクテクとドッカーレ宮殿へ。ここは非常に規模が大きい。途中で、日本人団体ツアーに会う。ガイドさんがついていたので、ちょうど良いと聞き耳を立てたが、ガイドブック程度の説明しかしないし、日本語のイントネーションが変ちくりんで聞き取りにくく、あえなくそこから離れることに。でも・・・団体ツアー羨ましいぞ。何となく日本人がグループでいる。それだけでパワーを感じる。こうして一人異国の地を歩くわびしさよって・・・だんだん、気が弱くなってきた。いけない、いけない。まゆみはいつでも前向きに頑張るのだ!
  そう団体に入って、まゆみ、君はちゃんとやれるのか?人を待つ時間の大変さや、自由がきかない辛さなど・・・きっとすぐに、やってられないと、文句を言い出すに決まってる。(君のために世界は回っているんじゃない!)
  心を強く持って歩き出すまゆみの足はサンマルコ寺院の宝物であるパラドーロに向かった。そしてむかつく!
  パレルモからずっと北上しながら、ずーーーーっと、こういう所に入るたび思うことだが、「いったい何なのよぉ。いい加減にして欲しいわ!」まゆみ憤りを隠せない!
  神にすがるとか、宗教にかけるという気持ちの表れだとしても・・・お金かかり過ぎじゃないですか。1300粒の真珠に400のガーネット?300のエメラルドとサファイア?90のアメジストにルビー、七宝と来たか。しかも一粒が大変大きい。1個2個買うのだって大変なのに、これらがばばんとはめ込まれた聖具が夥しい数、教会の1つ1つにデデン、デデデンとあるのだから・・・腹立たしいというか・・・済みません。庶民の切ない嘆きにも似た愚痴でした。どこかの教会に聖人の頭蓋骨にダイヤを施した金の帯がまかれ、腕と思われる骨にはルビーやトルコ石がはめ込まれた飾りが付いていたっけ。まゆみ、出るはため息ばかりなり。さすがにまいりました。やっぱり宗教の力って、すごい。
  ため息ばかりついてのどの渇いたまゆみ、イタリアンジェラードを食す。甘さが抑えられていて全体にすっきりしていてなかなか美味。この時は、カフェ&リモーネ。
  夕方夫と合流し、町の中を散策していたら、ジャパニーズレストランという看板が目にはいる。開店まで時間があったので、ちょっと覗いたら、絶対日本人ではないアジア人たちがカードをしていた。そしてやっぱり日本語は全く通じなかった。『キツネうどん』なんて書いてあったけれど、怪しすぎて素通りとなる。
  ヒデとロザンナの、ロザンナさんが「イタリア人は美術館にはあまり行かないですよ。だってそこら辺にたくさんそういったものがあるから」と言う話をテレビでしていたけれど、確かに頷ける。美術館や博物館の広さと言ったら、目が回るくらいだけど、名もない教会にあるこれ又素晴らしい彫刻や絵画、壁画の数々。教会の礼拝に行くだけで、もう満腹かもしれない。
  まゆみも沢山の作品を見すぎて、もう何が何だかわからなくなってしまった。年をとったら、もう一度ゆっくり教科書でも読もう。
  えっ?仲直りしたのかって?・・・別に仲直りはしていないのですが、短気だけどすぐに忘れる質なので、向こうも諦めている模様。さて、彼は1日に何回、「世界は君のために回っているわけではないのだ」と思うのであろう。
 お休みなさい。(・v・)

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最終更新日: 2004/08/13