失語症記念館 失語症と共に
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「シャーリーが語る:失語症とともに」
−失語症者とその家族の記録−
シャーリー・クレイマン著 リサ・メン博士の協力を得て

日本語訳:国際医療福祉大学助教授空白
田中裕美子
東京都立東大和療育センター
服部律子

2001年11月: 1/15頁

はじめに:コロラド大学言語学部教授 リサ・メンから
 シャーリーは私の友人であり、失語症者です。彼女が、脳卒中によって、失語症という言語障害になった(失語症は脳卒中以外の脳の障害でも起こります)のは、12年前の1985年、63歳の時でした。
彼女は倒れた当時は全く話すことができませんでした。今でも話すことや歩くことに支障がありますし、右手はほとんど動きませんが、人と意思を通じ合うことがとても上手にできます。
さらにすばらしいのは、脳卒中になった後も暮らしを最大限に楽しむ方法について、多くの素敵なアイデアを持っているのです。彼女は、どのような状況におかれても自分の人生を最高に生きることができる、人生の達人だと思います。
彼女はまた、失語症者の日々の生活で起きる、やる気をくじくような問題やうんざりすることがらについて、きちんと説明してくれます。
そのおかげで、家族や友人は失語症者が直面している問題を理解し、力になることができるのです。

 シャーリーはコロラド大学医学部の講義や、付属のスピーチクリニックで行なわれる、学生や失語症患者およびその家族を対象としたプログラムに、「失語症者であること」を語るために、よく招かれます。
それは彼女が話すことに不自由がありながらも、努力して意思を通じることができるようになったからです。
いつもきちんと自分の意見を主張することができるので、彼女は医者や言語聴覚士脚注1)、そして学生から尊敬されています。昨年、彼女は私にスピーチクリニックの研究会で、これまでどのような話をしてきたのか教えてくれました。その時私は、シャーリーの話をぜひ小冊子にまとめるべきだと考えました。
脚注1)言語聴覚士: 米国では養成制度も資格認定の方法も資格名称も日本とは異なりますが、この冊子の中では便宜的に日本の資格名を使います。

 そうすれば、もっと多くの人が彼女の考えから学ぶことができるからです。そこで、私は彼女に「もしあなたがこれまでの話をまとめて、小冊子のようなものにしようと思うのなら、病気になる前に書いていたようなきちんとした英語にするお手伝いは、私がしますよ」と約束しました。

シャーリー
シャーリー

その2
その2


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最終更新日: 2001/11/18