失語症記念館 失語症と共に
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コミュニケーションバリヤフリー

言語聴覚士 白坂 康俊
国立身体障害者リハビリテーションセンター

2000年04月: 1/7頁

ハンディキャップ
 身体の麻痺などの障害は,病院での機能訓練などで改善はしますが,それでも,ハンディキャップが残ることがあります.
 そうすると,立つ,歩く,走るなどの行動が不自由になったり,車椅子などを使用しなければならなくなります.
 健常者にとってはなんでもない,駅の階段や,道路の段差も,ハンディキャップを持つ人々が移動するにはとても大変です.
 その結果,行動の自由は制限され,人として自立して生きることに支障がおこります.
バリヤフリー
 このように,社会の環境は,ハンディキャップを持つ人々やお年寄りにとっては暮らしにくいことが分ってきました.
 そこで,道路の段差をなくしたり,公的施設にスロープやエレベータを設置したりといった対策がなされるようになってきました.
 社会の側の努力で,高齢者や障害者にも暮らしやすく,社会参加がしやすい環境を実現する.
 こういう考えに基づくいろいろな対策を「バリヤフリー(ハンディキャップを持った人の社会参加を拒むいろいろな障壁=バリヤをなくすという意味)」と呼んでいます.
 最近では,「バリヤフリー」をもう一歩進めた「ユニバーサルデザイン」という考え方が提唱されていますが,ここでは,分りやすいように「バリヤフリー」ということばで話を進めていきたいと思います.
 さて,このバリヤフリーという考え方の背景には,とても大切なことがいくつか含まれています.

障害の受容
 第一に,充分に機能回復訓練を行うことが条件ですが、その上で、障害の回復の限界,いいかえると機能回復訓練の限界を認めることが前提になっているということです.
 つまり,これ以上の障害自体の改善が難しいとなった時に,それを早く認めていこうということです.
 「障害がもっと改善すれば,よりよく生きられる」と、いつまでも考えるのではなく,「障害を持ちながらでも,よりよく生きていく」ことを目指すということです.
 バリヤフリーの第一歩は,「障害の受容」から始まります.

失語症と共に
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その2
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最終更新日: 2000/04/28